沙羅双樹
夏の着物の文様に「沙羅双樹」があります。
沙羅双樹は寒さに弱く、日本では植物園以外では滅多に育たないようです。日本で沙羅双樹と言われる野の花は、実は夏椿のことなのです。
夏椿は夏の朝に白い小さな花を咲かせます。「夏の涼感」を表す花とされています。
ただ、その花は花の形を保ったまま、夕方には地面にポトンと落ちて朽ちてしまいます。このはかない姿に、学校の古典で習った、平家物語の有名な歌が詠まれました。
「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を現す」栄えているものも、いつかは衰えて消えていくという「無常感」を詠みこんだのでした。
夏椿には、肯定的な意味づけとして「愛らしさ」や「哀愁」という花言葉があります。着物の文様はそれぞれに意味が込めらています。時にはお持ちの着物に袖を通して感じて下さい。