日本の手技

 最近は伝統を重んじる茶道具の世界でも、お抹茶をすくうスプーンのような「茶杓」、抹茶とお湯をかき混ぜる竹の穂先の「茶筅」などは海外産の安価な物が出回るようになりました。

 どこが違うのか? 茶杓や茶筅の主産地・奈良県生駒に工房見学に行ってきました。

 そこには見事な職人の手技がありました。竹を3年ほど乾燥させるために寝かせた後、その竹の表情を見ながら、炎の上でスプーンのように曲線を出し、小刀で削り出していく茶杓。同じく茶筅も寝かせた竹を小さく割っていき、あの細い穂先にしていきます。そして穂先のしなやかな曲線は、さらに薄く穂先を削りながらしならせていくのです。

 見た目の形は真似できても、あの繊細な手触りや穂先の柔らかさは日本の熟練の技。使い比べて見れば違いに気づくはずです。竹野紹鴎(タケノジョウオウ)がこの地で茶道の礎を築いた室町時代からの技に魅せられました。