着たい願望が紬を生み出す【後編】

和を想う ~池田社長ブログ~

絹への憧れから生まれた紬(つむぎ)

前回『着たい願望が紬を生み出す【前編】』の記事では、農民は絹を作る人、でも絹は最高のぜいたく品だから、農家の人々は着ることは許されなかったという話をしましたね。

綿系

絹の材料となる繭ですが、繭から絹糸を繰ろうとしたときに、すでに蚕が成虫になろうと繭を食いちぎっていたり、蚕が二匹入っていて糸がこんがらがっていたり、このような繭は絹糸をきれいに繰り出すことができないので、『くず繭』として廃棄されていました。
この『くず繭』を、まとめてお湯につけて広げて乾かすと、綿のような風合いになります(真綿)。この真綿を、唾液をつけながら、すこしずつ束ねて(紡ぐ)、細く細く伸ばして糸状にしていきます。こうして紡いだ糸で、織り上げた着物は、一見綿を着ているようにしか見えませんでした。

真綿

こうして、農民達は絹を着たいという夢を実現したのでした。
これが、○○紬(つむぎ)の起こりです。