正倉院と和の心
前回、なぜ正倉院展は人気があるのか?というお話をしました。それは、1200年前の世界中のお宝をこの上ない良好な状態で観賞することができるから。
そもそも正倉院は、奈良時代の聖武天皇が生前に世界中から集めた650点の宝物を納めるために、東大寺が特別に造った倉庫です。ただ、現在ではお宝の数は9000点に上ると言われています。聖武天皇以降の為政者の宝物も追加されてきたからです。
これは、すごいことなんです。
人類の歴史の中では幾多の戦いが繰り広げられました。滅ぼす者がいれば滅ぼされる者がいます。新しい為政者は、倒した王様の宝を普通は略奪するか破壊するのです。しかし、正倉院の宝物は略奪されるどころか、増えてきたのです。かの徳川家康も、正倉院を修理し、また櫃を32個寄贈しているそうです。
自然や人、周囲との調和を重んじるのが和の心。正倉院は、和の心があればこそできた偉業なのですね。