絞りの浴衣

 浴衣の季節となりましたが、王様の風格を漂わせているのは絞りの浴衣でしょうか。

 そもそも、絞りとは、生地を括ったり、縫ったり、つまり絞って、染料の浸透を防ぎ、文様を作り出す染め技法をいいます。

 この絞りの技法は世界中で100ほどあるとされていますが、多くは日本で編み出されたもの。実は日本は絞り大国なのです。

 愛知県の有松・鳴海地方は、江戸時代以来の絞りの産地なのですが、この僅か人口数万人の地域で世界の絞りの技法の75ほどが開発され伝承されています。技法は、一家に一技法で、代々その家に伝承されてきました。

 しかし、現在の職人の平均年齢は70歳を超えていて後継者不足が問題となっています。

 このままだと、あと10年もすれば、絞りの浴衣は店頭から消えてしまうかもしれません。

 ぜひ一度絞りの浴衣に触れて、そこに込められている職人の想いを感じて下さい。