打ち水

 私の茶道の先生宅の玄関先にはいつも打ち水が施されている。そういえば、私が幼少の頃の夏の朝夕には「今日も暑いですね」なんて言いながら、近所でお互いに打ち水を施しものだったが、最近は殆ど見かけない。

 そもそも打ち水には神様の通り道を清めるという意味があり、それが客人を歓迎する心にもつながり、日本では古来より行われてきた。それに水が地面の温度を下げて、涼を招くという実用的な意味が重なり、江戸時代ごろからは特に夏の朝夕に広く各家庭で行われるようになったそうです。 

 また使う水には更の水ではなく、米のとぎ汁で廊下を磨いた後の残り水を使ったものでした。

 冷房機が発達した今日、実用的な意味は薄まったかもしれません。しかし、神様を尊び、客人を歓迎する、そして命の源泉である水を大切にするという打ち水の精神はつないでいきたいものですね。