着込むにつれ線から面へ

和を想う ~池田社長ブログ~

着込むにつれ、線から面へ

   紬は、くず繭から紡いだ糸で着物を織るので、出来上がった着物が、一見綿のような風合いになる。という話を前回しましたね。
 

 紬の糸は、唾液をつけて細くしたものですので、時間がたつと広がってきます。つまり、糸が線から面に変わっていくのです。

 昔ながらの、手で紡いだ糸を手織りでコツコツと織り上げた紬は、出来上がったときにはゴツゴツとしていますが、時間がたつにつれ、そして着込むにつれ、紬の着物は柔らかく、暖かくなっていくのです。

 例えば、落語家の師匠が新しくこしらえた結城紬を、弟子に寝巻き代わりにさんざん着させて、柔らかくなってから自分が袖を通す。なんて話もあるくらいです。

 わたしのお気に入りの一枚に、手紡ぎ糸を手織りで織り上げた結城紬があります。これはほんとに暖かくて、裏地をつけずに冬場でも着ております。

 着心地の良い紬には、そんな時間も一緒に紡いでいます。